とある中学校の「学習予定」というプリントを入手しました。
これは、日ごとに実施する宿題と、やり方の指導が記載されたプリントです。

その指導内容が、学習塾関係者から見るととんでもない内容だったのでブログで取り上げさせていただきました。

以下がそのプリントです。赤線は私がつけたものです。

この宿題指導の特徴は、
・繰り返し書くこと
・余白がなくなるまで書くこと
・主要教科すべてで同じ指導方針であること

まさに、それしか言えんのか!という感じですね。

※前提
この学校には各教科で自主学習ノートというものがあり、
生徒が各自ページを学習内容で埋めてくるということになっていること。
愛知県は内申点も重要であり、自主学習ノートは内申点に影響するため、これらの作業にはある程度の強制力があるということ。

これを見て、ほとんどの学習塾関係者は頭を抱えるか、もしくは「我々の業界はまだまだ安泰だ」と安心するかのどちらかでしょう。
頭を抱えているのは一部の保護者様も同じようです。現に、メタ・スキルコースを受講させている保護者様は面談時に「これ」についてのお話をされ、問題意識をお持ちでした。

 

この宿題指導から分かる問題点をあげてみましょう。

1.「作業」量のみを指示している
2.学習方法の具体的な指示がない
3.学習に対する評価(質を問うこと)をしていない
4.勉強嫌いを量産する
5.そもそも効果がない
6.学校全体に、効果的な学習方法に関するノウハウが存在しない

 

1.「作業」量のみを指示している
2.学習方法の具体的な指示がない

とにかく「余白がなくなるまで」、という指示があるだけで、何をどのように書くべきかという指示がないため、勉強方法の指針になっていません。量の指示としても、余白がなくなるまで、というのは曖昧過ぎます。「勉強のやり方がわからない」という生徒は少なくないと思うのですが、その子らの悩みを解決するものになっていません。

 

3.学習に対する評価(質を問うこと)をしていない
4.勉強嫌いを量産する

まじめな子は、とりあえず量をこなそうとしてページを埋めていきます。しかし、おそらく量と質がリンクしていないでしょう。質とはテストの点数となって見えてきます。この宿題指導には、どうやって勉強の質を担保するか?(理解度のセルフチェック)という観点が抜けています。セルフチェックがなければ、いつまでもテストでどれくらい点が取れるかというチェックができません。そんな状態でテストをむかえ、「あれだけやったのに点が取れん!」となれば、「勉強のやり方がわからない子」は「勉強嫌いな子」に進化するでしょう。まさに負のスパイラルです。

 

5.そもそも効果がない

この勉強の指示は、成績上位層の子にとっては意味も持ちません。なぜなら勉強の量を確保することは当たり前であり、いかにハイレベルな問題を解けるようになるかという点(つまり、質の部分)に感心があるからです。

では、成績中位・下位の子ならば効果があるかというと、それも疑問です。3にあるように質の評価という観点が抜けいているため、ダラダラと作業するのみとなる可能性が高いです。

こんなことがありました。
英語の自主学習として単語をひたすら書いている子がいました。私は試しに2、3行前の単語を指差して、その単語の意味と発音をたずねてみたのです。その生徒の反応はというと・・・・ただ無言になるばかり。。。(その子は自主学習ノートの量をクラスで競う取り組みにおいて、上位につけていたのです(!))

ただただ繰り返し書く、という勉強法は、Webを検索すれば全国のさまざまな先生方によって否定されています。(もっといいやり方がある。)

 

6.学校全体に、効果的な学習方法に関するノウハウが存在しない

問題の根が深いと感じるのは、主要5教科すべてにおいて同じような指導が書かれていることです。単語の暗記ならまだしも、数学はむしろ余白をあけて、ぜいたくにノートを使うべきです。なぜなら、計算・思考の過程をわかりやすくでき、検算や間違い直しにおける勉強の効率が上がるからです。

この宿題指導のプリントは、教科を横断して記載されています。特定の科目の特定の先生が指示しているというものではないのです。つまり、このプリントを配布する前にチェックしている先生がいるはずなのです。この内容を見て、何も感じないのでしょうか?いや、むしろこの先生の方針が各教科に反映されてしまっているのでしょうか?どちらにしろ闇が深いです。

 

こんな指導を真に受けて、まじめに取り組んでいる生徒が多くいると思うと、悲しくなります。怒りも湧いてきます。学区内の教育水準の低下が心配です。

とりあえず、中学生・高校生のお子様をお持ちの保護者様は一度、お子様がどんな勉強法を指導されているのかチェックするべきです。


 

勉強法(メタ・スキル)のページへ