当事者意識」ということばがあります。
辞書的な表現で説明すると、

自分自身がそのことがらに直接関係するとわかっていること

となります。ここでの「関係する」とは、「自分に利害がおよぶ」ととらえると分かりやすいと思います。

このことばは、会社員時代によく耳にしました。

「会議の参加者に当事者意識がないから、意見が出ない。」
「当事者意識を持って仕事をしないから、業務が改善されない。」

などです。会議や業務改善は、自分とは関係ない!と考えてしまうわけです。

じつは教育のシーンでも似たようなケースがあります。

同じ授業・ゲームなどの活動をしていても、当事者意識の有無によって、成長へののびしろが異なるのです。

以下のような傾向がある子は当事者意識が低いと言えます。

負けた結果を他人のせいにする(他責)、 受動的、
他人まかせ、 自分で決めない、
“自分がやる”という意識が低い、
やりきらない (途中で投げ出す)

これらの傾向は、思考体験の質を低下させたり、学びのチャンスを失ったりする原因となります。当事者意識とは、成長のための重要な資質なのです。

当事者意識を高めるために伊與田塾がしていること

伊與田塾の活動の中で生徒の当事者意識を高めるために工夫していることは、「不親切さの演出」です。具体的には、特別授業や大会など、子どもたちが「結果を出したい」場面では、丁寧なルール説明をあえて行わないなどの仕掛けをします。もしくは、ルールは説明するが、勝ち方は教えない、などです。
また、当事者意識の低い態度で挑むとなんらかの失敗をするように「」をしかけます。

さすがに、その活動の中で致命的な失敗をさせるようなことはせず、生徒が独力でなんとかリカバリ可能なものにしています。

こうした仕掛けによって講師がガミガミと呼びかけなくても、子どもたちは自然と能動的に活動したり、自分の言動・行動に責任を持つようになります。