ゴブレットゴブラーズ

こんにちは。伊與田塾塾長のいよだです!

前回に引き続きゴブレットゴブラーズのご紹介です。
今回は実際の授業の中での生徒たちの様子や、私が感じたことを書いていきます。

ゲームのルールなどは前回の記事で紹介しています。

 

ゲーム内での失敗事例

1.単純なリーチを見落としてしまう

相手の駒(ゴブレット)があと1つで3つ並んじゃうよという状態を「リーチ」と呼んでいます。
相手にリーチがある場合はそれを阻止する必要があります。(こちらが1手で勝てる場合をのぞきます)

また、ごく初期の頃には自分のリーチを見逃しているという状態もよく見られました。

集中力

単純なリーチ見逃しの原因の大部分は「集中力」のようです。集中できる子は、ゲーム外の音声が聞こえていないかのようにじっと集中することができ、リーチの存在に気づくことができます。目線は場に集中しています。

逆に集中できていない子は、盤外の会話に気を取られたり、よそ見をします。そういう傾向のある子は数手であっさり負けてしまうことが多かったです。

集中力の高い・低いのほかに、「集中力をゲームにあわせてうまく使えるか」という考え方もあるように思います。

例えば、カタンのように盤面・駒の数・資源の数など情報量が多く、他プレイヤーとの交渉時に盤面から目をはなすことがあるようなゲームでは、意識をすべき範囲を広くする必要があると考えられます。回を重ねて強くなっていった子は、集中力の使い方をゲームに合わせて調整することができていたということが言えると思います。

抽象化・記号化

単純なリーチを見逃さないためには、駒が持つ情報、つまり駒に描かれた顔、色、大きさのうち、色の情報のみを抽出して読み取る必要があります。これは伊與田塾で「抽象化」とか「記号化」として扱う力に似ています。駒を1つ1つの具体物として見ていると、2つ同じ色の駒が並んでいてもリーチと認識することができないようです。

実は私は生徒に言われるまで気づかなかったのですが、ゴブレットの顔のイラストは2種類あるのです。(みなさんは気づきましたか)

 

ゴブレットゴブラーズ2

2.記憶漏れ

ゴブレットゴブラーズの醍醐味は、小さい駒に大きい駒を重ねることができる点です。
場に置かれた中・大サイズの下に他の駒があるのか、あるとしたらどちら側の駒かを記憶できれば、ゲームの最終局面で有利になります。

記憶のコツはいろいろあると思います。駒を抽象化し記号的に覚えるやり方もあれば、映像記憶として覚える方法もあると思います。(私はどちらかというと後者で、対戦相手がゴブレットを重ねる様子を動画として記憶するようにしています。)

ゴブレットゴブラーズ

 

3.二手先の読み落とし

将棋や五目並べなどのように、本ゲームにも「詰み」状態ができます。つまり、次に相手がどのような手を打とうとも勝てる状態ができます。

数回プレイすれば、「どうやら詰み状態というものがあるらしい」ということに気づけます。ただ、実際のプレイの中で読むことができるかはまたです。「自分がこうしたら、相手はどうするか」という思考態度を持ち、実践できるかどうかが初心者脱出へのハードルでしょう。

 

成長を感じたシーン

ゲームに慣れ、ゲーム中にどのように頭を使えばよいかが分かってくると、プレイ中の様子も変わってきます。

① 単純な見落としが減り、長期戦化できる
② 記憶力の使いどころを認識し、実行できる
③ 盤面への集中を維持できるようになる
④ 2手先を読もうとする態度が身につく

本ゲームを1か月、約20回ほどの真剣勝負の中で、上記のような成長が見られました。今回はルールが比較的単純だったこともあり、ルール説明以外の戦術指導はしていません。ですが、子どもたちは基本的に負けず嫌いであり、勝ちたいというモチベーションを持っているので、対戦機会を用意してあげれば勝手に成長してくれます

 

伊與田塾でのアレンジルールなど

ゴブレットゴブラーズを授業に用いる上で採用した追加ルールなどをご紹介します。

1.場の真ん中には直接ゴブレットを置けない

2.自分の手番に駒に触れたら、必ずその駒を動かさなければならない

3.ルール説明

1のルールは、短期決着を防ぐためのルールです。事前にテストプレイをした結果、「真ん中に置かれた駒」はとても強く働きます。そのため、先手がかなり有利になると考えられます。また短期決着となると本ゲームの醍醐味である、駒を重ねるというアクションと、重ねられた駒が働く場面が少なくなります。

2のルールは、ゲームの緊張感を高めることと、「数手先を読む」態度を身につけるためにうまく機能してくれました。

3は伊與田塾のMAで新しいゲームを実施するときにほぼ共通することですが、ルール説明は口頭では行わず、私が用意した紙の文章およびイラストで行います。読解力を発揮する格好のシチュエーションになります。

本ゲームは簡単なルールだったので、あえて「こういうときは、どうなるんだ?」というグレーな部分を用意しておき、

必要があれば私に質問・確認をするように。でないとゲーム中に不利益があるかもしれません。

と宣言しておきました。ルールを理解し、さらに実際のプレイ前にゲームの流れをシミュレートできないと、質問はできません。かなり高いハードルですが、5人に1人は質問を発することができました。こういう子は、やはり初見でも勝率が高いです。

 

前回の記事

 

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