大切なのは、”概念をつかむ”その感覚だよ。


概念を育てよう」「概念をつくろう」という声かけをします。

特に、パズル道場で、新しいパズルに挑戦している生徒さまに対して使うことが多い言葉です。

ところで、”概念”という言葉を正確に理解して表現することは難しいですね。しかし、この概念という言葉の意味をなんとなくでもよいのでつかんでおくと、思考力が育つスピードがぐんと上がります。

概念という言葉の意味はいろいろなとらえ方がありますが、伊與田塾では「~についての考え方」というニュアンスで使います。


・数の概念
・0(ゼロ)の概念
・俳句の概念

パズル道場での例をあげましょう。
初めて取り組むパズルでは、ほとんどの生徒が「あ~でもない、こ~でもない」と汗をかきながら正解を導き出していきます。しばらくたって、「できた!」となっても、そのパズルについての概念がつくられていないと、もう一度同じパズル(もしくは類題)に挑戦しても、正解することができません。なぜなら、「正解を導きだすための概念」が育っていないからです。正解を出すための概念が育ったあとは、次のステップとして「より早く解くための概念」を発見し、育てていく必要があります。(たいていのパズルには、合格のために時間制限があるためです)

パズル道場に「スーパー4色キューブ」というパズル教具があります。
4色のブロックを使って、各色2こずつ、合計8個の立方体を制限時間内に作るというものです。色によってブロックの複雑さが異なっています。

スーパー4色キューブ

スーパー4色キューブ

完成図

完成図

たいてい、はじめのうちは手も足も出ず、制限時間内に完成させるどころか、1回完成させるまでに数回の授業(数週間)を費やすこともあります。それが、何回もチャレンジするうちに「できる」ようになり、さらに進むと「何度やってもできる」「スピードを伴ってできる」と進化していきます。

正解するためには、「ブロックの組み方についての概念」のパターンを増やし、精度を高める必要があります。さらに、より早く完成させるためには、「各色の組み立てる順番」「スタート時の準備」はては、「取り組むときの体の姿勢」にまで考えが及んでいきます。このレベルになると、「スーパー4色キューブについての概念」を言葉で説明することができるようになります(言語化)。

講師がそのような現場に居合わせたときには、「その感覚を覚えておいてね」と声かけをします。大切なのは、個別のパズルを完成させた(できた・結果)ことよりも、自分の頭の中で概念を育てていく過程なのです。それを生徒さまに認識してもらうことで、今後あらゆる課題に直面しても、自分でねばり強く考えることができるようになるのです。

集団形式、一斉形式の授業では、「自分の頭の中で概念を育てる」過程を十分に経験することができない可能性があります。その理由としては、「授業が決められたペースですすめられる」「先生やほかの生徒によって正解や解法が示されてしまう」ことがあげられます。

パズル道場では、自分で解き方を見つけ、自分で解き方を改善していきます。できるようになるまで、同じパズルに何週間もチャレンジし続けることもあります。パズル道場が、ただのパズル教材ではなく「道場」と名がつく理由が、ここにあります。

概念を育てる力がつけば、将来さまざまなことにチャレンジするときにとても役立つでしょう。それは、特定の問題が解ける(できる)ことよりも大切なことなのです。

⇒パズル道場のページ