パズル道場を運営する上で大事にしていること。
それは「あわてずに待つ」ということです。

思考のセンスを確実に自分のものにするには、パズルの問題を必ず独力で解くことが必要です。自身の力にまかせるため、ときには1つの問題にかなりの時間がかかる場面もあります。※

学校などのパズル道場ではない勉強のシーンにおいて、子どもにとっては「わからなければヒントを聞く」ことが当たり前だと思います。一定時間進まないでいると、先生のほうが察してくれて手助けをしてくれるということも考えられます。

パズル道場は原則ヒントなしで、ルール説明以外の手助けはありません。学校などで助けてもらうことがあたりまえになっている子は、その甘えを捨て、独力でやりきる覚悟を持つところからスタートとなります。

クリアするのに時間がかかろうとも、その考えている時間に子どもの中でさまざまな試行錯誤・チャレンジ・部分的な成功と失敗があり、思考力が高まっていきます。そして、クリアした際には「粘り強く考えればできるんだ」という成功体験と自己効力感が得られます。これらが他のパズルや他の分野の勉強に大いに役立つのです。

パズル道場の価値は数々のパズル問題にあるのではなく、上に書いたような見えない学力や態度の学力の向上にあるのです。

これらの価値を実現するには、「道場」の名にふさわしい環境の整備が不可欠です。具体的には、安易に手助けをしない講師、パズル道場のルールを共有する仲間たちなどです。

私はこの環境をご家庭で再現することは不可能だろうと考えています。子ども自身の気持ちのスイッチもそうですし、見守る立場の保護者にとって、時に「じっと待つ」ことは辛く、焦れてしまって難しいだろうと思います。そういう場合、保護者本人にとっては、「教えてしまったほうが楽」なのですが、子どもの学びのチャンスを大きく損なうことになります。


すこし話は飛びますが、「ときには「待つ」」という態度は、パズル道場に限らず子どもを成長させる上で重要だと思います。保護者がじっと心を落ち着けて子どもを観察する。そうすることによって子どもの成長や改善点を感じ取ることができます。そのためには、難しいかもしれませんが、保護者が肉体的にも精神的にも忙しすぎず、少々の余裕がある状態がベストのように思います。

伊與田塾の長時間記録
1位:3ヶ月(週1回授業)、2位:1ヶ月(週1回授業)