サッカー2018年FIFAワールドカップ。さきほど日本はポーランド相手に敗戦したものの、勝ち点、得失点差、総得点、直接対決結果でならぶセネガルに対しフェアプレーポイントで勝り、決勝トーナメント進出を決めました。
ワールドカップにおいては日本チームは弱者です。残り十分を残した段階で日本チームは決勝トーナメントへ進むために目の前の敗戦を受け入れました。この十分間に別会場の試合でセネガルがコロンビア相手に得点した場合は日本は敗退という状況だったのですが、その決断が吉とでた形です。おそらくグループリーグ最終戦で今回のような状況になることも想定していたのでしょう。そして勝ち上がるための諸条件(ルール)を考慮し、あらゆる状況に対して準備をしていた。だからこそ、早い段階で「敗戦を受け入れ、これ以上絶対に失点しない」という戦術へ舵を切ることができたのだと思います。


ルールを知らない人は、そうでない人にくらべて損をすることになります。ここでいうルールとは、生活・仕事・スポーツ・ゲームなどあらゆるシーンに存在します。損とは、金銭的な不利益の他に、時間や健康などの指標で測ることができるものもあります。

ルールには、形式的な面と本質的な面があると思います。形式的な面とは、法律の条文のように(知ろうと思えば)誰にでも明確にされている内容のことです。逆に本質的な面とは、そのルールがあると人や集団の行動がどう変わるのか、そして自分はどのように行動すればよいか、ということです。

“初見”のゲームを通じて学ぶ

伊與田塾のマインドアクセラレータの授業では、主にコミュニケーション力などの思考力を鍛えるためにさまざまなゲームをします。生徒にとって初見となるゲームを導入する際は、説明書を渡して一定時間与え、短い質問タイムを設けてからすぐにスタートします。手とり足取りの丁寧な説明はありません。

本物の学力と、学ぶ態度が試される

初見の状態では、生徒たちの本当の意味での学力(学ぶ力)がはっきりと現れます。

説明書(形式的なルール)を理解するには、語彙力や論理的思考力、ゲームの進行をイメージする想像力などが必要です。そしてそれ以前に、ルールを理解しようとする態度と根気が必要になります。それが無い子は、説明書の内容を理解することを諦めてしまいます。あとで教えてもらえるだろう(教えてもらえばいいや)くらいに考えているのでしょう。この傾向は入塾間もない子ほどよく見られます。

説明書を読む時間が終わり、質問を受け付ける時間になった時点で、初回のゲームの結果(勝敗・順位)は想像できます。ゲームの成績はだいたい下記の順番になります。

1.質問タイムにゲームの本質にせまる質問ができる子
2.質問タイムにルールの形式的な部分の質問・確認ができる子
3.質問をしない子(できない子)
4.説明書を読まない子(読めない字さえも質問しない)

”損”をする”生(なま)の”体験から学んでもらう

時間内にルールを理解できなかった子には、ゲームの中で損をしてもらいます。損をしたことにさえ気づいていない場合、私が指摘することもあれば、あえてスルーすることもあります。(たいてい、あとで自分が損をしたことに気づきます。)逆に、ルールを理解したプレイをしたときには、多少オーバーアクションで褒め、成功体験として認識してもらいます。

子どもにとってゲームは”実戦”

子どもはゲームに負ければくやしい思いをします。それは初見のゲームでも、熟知したゲームでも同じです。最近導入した「カタン」では、勝利条件を満たしているのに勝利宣言をしなかったために勝てなかった子がいました。終了したあとに指摘すると、半泣きになっていました。勝利条件を満たした時点で講師が教えてあげるのは簡単です。しかし長期的に見れば、そこでくやしい思いをさせたほうが良いに決まっています。

カタン,

 

学ぶ態度の改善へ

初見のゲームを3,4回体験すると、生徒の「学ぶ態度」は変わってきます。能動的に説明書の情報を理解しようとする、わからない部分は辞書を引く・質問する、などの行動を取れるようになります。この「学ぶ態度」は、勉強だけなく社会へ出てから付加価値の高い人材に成長する力になるはずです。


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