こんにちは。伊與田塾南安城教室、塾長のいよだです。
マインドアクセラレータ(MA)の授業の中で実施したゲーム「宝石の煌(きら)めき」をご紹介します!
今回はゲームになれてきた中級者からのお話です。
※ゲームのルールについては前回のブログにて紹介しておりますので、そちらを御覧ください。
⇒リンク:宝石の煌めき ~初級編~
※教育的な観点での紹介となりますので、ルール等の解説を省略している部分がありますのでご了承ください。
「効率」の追求
ゲームの進行に慣れてくると、プレイヤーは「いかにはやく威信点15点を獲得するか」と考えます。
このゲームは山札以外の情報はすべて公開された状態で進行するため、以下に効率よくプレイするかが重要になります。
ここで効率という概念が出てきました。小学校高学年の子であれば感想戦中に自然と「効率」という言葉がでてきます。3,4年生であれば、「効率という概念」にはじめて出会う子もいます。
3つの効率
(1) いかに安く発展カードを買うか
発展カードには割安なものと割高なものがあります。
下の写真の例では、同じサファイア(青い宝石)1個分の購買力の発展カード※ですが、購入するためのコスト(費用)が異なっています。他に事情がなければ、安く買ったほうが良いことは間違いありません。
(2) 宝石トークンを効率よく運用する
上記(1)にも関わることですが、宝石トークンは無駄使いしないようにしたいです。宝石トークンは自分の手番(ターン)に最大3つまでしか得られません。これは単純に考えると宝石トークンを3つ浪費することは自分のターンを1回飛ばすことと同じと言えるのです。
手持ちの宝石トークンが10個を超えてしまったり(バースト)、割高な発展カードを買ってしまうことは非効率となります。発展カードを「キープ」は、同時に金トークンを1つ得られますが、宝石トークン2つ分損していると考えることもできます。その損をキープと金トークンのメリットが上回らなければ、やはり非効率なプレイということになってしまいます。 (しかしこれはあくまで中級者としての常識です。)
(3) 発展カードと威信点の効率
このゲームの目的・勝利条件は、威信点を15点以上獲得することです。いくら宝石トークンをとろうが、発展カードを集めようが、威信点で他プレイヤーに負けてしまっては元も子もありません。購買力を高めるための発展カード購入と、威信点を得るための発展カード購入を分けて考える必要があります。ここに悩ましい(楽しい)ジレンマがあります。
さて、実は子どもたちの記録表を約100ゲーム分集計しました。(大変でした。。。)
勝利(1位)したケースのデータを平均すると、発展カード1枚あたりの威信点が 1 . 3 を超えていました。これはつまり、発展カード12枚を購入するころには勝負が決まっているということになります。
勝利時の威信点 ÷ 発展カードの枚数 = 発展カード1枚あたりの威信点 = 1.3
勝利に必要な威信点(15点) ÷ 1.3 = 11.5・・・(切り上げで12)
この12枚という数字のもとになったプレイデータはあくまで初級者が多かった時期のものです。全員が熟練してきたタイミングで再度集計すれば効率がよくなっていると考えられます。
自分本位では勝てない
ゲームへの向き合い方、思考態度、熟達のスピードを見ていると将来、その子が仕事で価値を発揮できそうかということがなんとなく見えてきます。中級者になるための課題、初級者の特徴をあげてみます。
(1) 自分本位
相手ありきのゲームということを理解しておらず、自分本位のプレイになりがちです。たとえば、どの発展カードを買うか、という判断基準が「自分の好きな宝石・色」だったりするなど、自身の好み・気分で判断しています。ゲーム中は自分の場しか見ていません。
(2) 目的を見失う
威信点15点という最終目的を忘れがちです。ゲーム後半になると宝石トークンを使わずに手持ちの発展カードだけで新しい発展カードを購入することができるようになります(拡大再生産)。しかし、タダで買える快感に浸っているうちに他プレイヤーに威信点の差をつけられてしまいます。
(3) 需要(じゅよう)が読めない
初心者の子ほど、自分が買いたかった発展カードを他プレイヤーに先に買われてしまったり、キープされたりして「あ~それ私がほしかったのに~!(怒)」というセリフが出ます。自分がほしいカードは、他の誰かもほしいカードである(需要がある)という考えがないのです。特にゲームの序盤は全員が安い発展カードを目指すことが多いので、上記のセリフが頻発します。
伊與田塾では、ゲームの戦略・戦術・コツなどを教え込むことはしません。ルールの理解をサポートするのみで、ルール外の「勝ち方」とか「ゲームの本質」は生徒本人に自力で気づいてもらうようにしています。※ 初見のゲームをいくつか経験することで、ゲームそのものに強くなり思考態度が改善されていきます。
※全員が理解した時点で、「こういうワザがあるよね~」とネタばらしすることがあります。
※「技やコツが存在する」ことは実際にコツをつかんだ子を大げさに褒めるなどして強くアピールします。
いかがでしょうか。上にあげた「自分本位」や「目的を見失う」ということを、社会に出て仕事中にやらかしたらどうなってしまうかは言うまでもないですね。
仕事だけでなく、勉強も同じです。
自分本位の勉強(勉強とは言えないような作業)では、よい成績や合格基準に達することはできません。仕事も勉強も、相手ありきなのですから。勉強での相手とは、出題者や得点基準、合格基準のことと考えられます。
次回、上級編です!
宝石の煌めきは、相手にさとられないように手加減することが可能です。上級者は自分の最善だと思う手を打たずに、遠回りな手を打てばよいのです。中には「負けるのは嫌だが、露骨に手加減されるのも嫌!」というプレイヤーもいるでしょう。そういった子に対応しやすいゲームです。
宝石の煌めきは、実力が拮抗したプレイヤー同士だと、1手違いの勝負になることが多いです。つまり、あと1ターン自分の手番があれば逆転だった!という決着になります。1ターンの差とは宝石トークン1,2個の差です。そのような状況になった終盤戦はまさにシビれる瞬間となります!
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